寄稿者:橋本繁美
芒種 次候
蛍が光り出すころ。朽草(くちくさ)とは蛍の異名をさす。最近、なかなか観ることが難しくなった蛍。短い命を燃やしながら舞い飛ぶ姿は、しばしば恋の思いを重ねて歌に詠まれてきた。
恋に焦がれて鳴く蝉よりも
『山家鳥虫歌』
鳴かぬ蛍が身を焦がす
幻想的な蛍火はラブコールのサインといわれる。くれぐれも恋の邪魔をしないように。それにしても、不思議な蛍の光り。6月3日の地元京都新聞に「初夏の光ふわり」の見出しで、京都市中京区を流れる鴨川右岸の水路「みそぎ川」にゲンジボタルが乱舞している記事が載っていた。市内で蛍が見られるなんて珍しい。近いうちに出掛けてみようかな。(新暦6月11〜15日)