二十四節気 白露(はくろ) 新暦9月8日頃

旧暦のある暮らし寄稿記事-ことばの遊園地-

 寄稿者:橋本繁美

白露とは、大気が冷えてきて露を結ぶ頃のこと。ようやく残暑が引いていき、秋の気配も本格的なものに。とはいえ、日中は気温の高い日が続くが、朝の澄んだ空気と、ちょっぴり肌寒い冷風が季節の移ろいを教えてくれている。俳句も場合、露は季語。秋季に最も多く降りるからといわれている。また、露といえば、はかなさが連想され、露の世、露の身、袖の露のなどと、もののあわれ的ボキャブラリーに使われている。
余談だが、露といえば、露の五郎兵衛という落語家を思い出す。なにわの噺家で、艶話はずば抜けてうまかった。社団法人京都デザイン協会が、京都・北野天満宮が落語の発祥地を記念して、落語の碑を建てるときに、ずいぶんお世話になった。偉大なる師匠は、俳句を詠ませてもずば抜けていた。本まで出ており、露とボキャブラリー、私のなかでは繋がっている。

蜻蛉(とんぼ)

♪畑のとんぼは、どこへ行った。あのとき、逃がしてあげたのに…。(「夏休み」吉田拓郎より)。この時期になると、夏の終わりを告げるかのように、赤とんぼを見かける。ふるさとへの郷愁と重なる赤とんぼ。戦国武将たちは、前へ前へと飛んで後ろへは飛ばないとんぼを「勝虫」と呼び、好んで兜などのデザインに用いたほど。和柄、古典文様に多く使われている。空を飛び交うとんぼは、ほんま、美しい日本の原風景だ。 とんぼといえば、トンボ鉛筆(ごめん強引)。「人は、書くことと、消すことで、書いている」。消すことは、また、書くことである、と信じるトンボです。トンボが動いている。人が、何かを生み出している。(2006トンボ鉛筆・消しゴム:コピーライター岩崎俊一さん)。他にも、「ロケットも、文房具から生まれた」。トンボは、これから先も、ずっと人間のそばで暮らしたいと願っています。トンボが動いている。人が、何かを生み出している。(ボディコピーは一部のみ引用。京都出身の岩崎さんのコピーは名作だなぁ)