寄稿96  際立つ美のイメージ・味覚の秋

寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

際立つ美のイメージ

化粧品のテレビCMやポスターに登場する女優の肌は透き通るように白く美しい。もちろん、プロのメイクの仕業もあるが、最終はオペレーターによって映像をとことんキレイに仕上げられているそうだ。ビジュアルは際立つ女性の美しさ、キャッチフレーズは女ごころに響くことば。クリエイティブな表現によるコミュニケーション・パワー。化粧品業界も新製品の開発はもとより、タレントのもつイメージにのせて広告戦略をいろいろと仕掛けているが、昔のように印象に残るようなものが少ないと感じるのは私だけなのだろうか。

ところで、ドーパミンということばがあるのをご存じだろうか。脳内の快楽物質といわれ、これがあると人は快楽を感じるといわれている。では、ドーパミンはどのようなときにでるかといえば、①楽しいことをしているとき、②目的を達成したとき、③他人に褒められたとき、④新しい行動を始めようとするとき、⑤好奇心が働いているとき、⑥恋愛感情やときめきを感じているとき、⑦意欲的に、やる気が出た状態になっているとき、⑧美味しいものを食べているときなどに分泌されるといわれている。

CMやポスターといった広告表現にも、美しい、キレイ、素敵、気持ちいいといった魅力もこれらに深く関係している。最近はビジュアル・コミュニケーションが主流のようだが、「驚き」や「不思議」をキーワードにまわりを見直してみるのも、新たな発見につながる一歩だと思う。

味覚の秋

朝夕に限らず、すっかり秋の気配が感じられる頃になった。先日、京都新聞には丹波産松茸が店頭に並びはじめたという記事が載っていた。初物ということもあって、手が届かない高額な値段だった。庶民の味として親しまれていた秋刀魚(さんま)さえも、ここ数年、漁獲量が少なく、ことしも1尾300円という高級魚となっている。しかも、小ぶり。もっと大きくて100円で買えたのは遠い昔のようになってきたのは残念。いずれにせよ、海の幸、山の幸がたっぷり出まわる季節だけに、できるだけ安価であってほしいものだ。はやく、五臓六腑に染み渡る、そんな美味しいものを楽しみたいと思う秋の夕暮れ。*五臓は、肝、心、脾(ひ)、肺、腎(じん)の五つ。六腑は、胆(たん)、小腸、胃、大腸、膀胱(ぼうこう)、三焦(さんしょう)の六つをいう。