寄稿36 浴衣のすすめ・朝顔と向日葵

枡儀のいろは寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

浴衣のすすめ

♪浴衣の君はすすきのかんざし…と思わず歌い出したくなる「浴衣」の装い。長い髪をかきあげて襟足を見せ、ちょっぴり色っぽく見えるのが女性。祭り団扇を後ろにさして、塗り下駄を鳴らし、急いで夏まつりへ。可愛い巾着袋を手にしてカランコロン。目につくのは、綿菓子、焼きトウモロコシ、かき氷、冷えたラムネもいいなぁ。恋より食い気か。あ、それよりも、はやくあの人が待つ場所へ行かなくちゃ。

ということで、夏のファッションアイテムといえば、やはり浴衣。あの、さっぱりとした着心地は、何よりの夏の涼。素足に下駄で出かけるのも、実に気持ちのいいものだ。もともと浴衣は「湯帷子(ゆかたびら)」の略で、「帷子」は、単衣の着物のことで、古くは風呂といえば蒸し風呂だったので、入浴のときに着る着物で、江戸時代になって湯舟につかるようなると、湯上がりの汗取り用に着るようになり、普段着として広まったといわれている。

浴衣は普段着、くつろぎ着。お気に入りの浴衣と帯、下駄さえあれば、非日常体験が気軽に味わえる。ふだんの洋装では味わえない、魅力を引き出してくれる強い味方といえる。そう、これぞ簡単に楽しめる和装入門。ただし、浴衣で外出する場合は、汗ジミや透け防止のために、きちんと肌着をつけてから。もちろん柄が外にうつらないよう無地のものが基本。着こなしのこつは、背筋を伸ばして胸を張ると、しわにならず、きれいに見える。この夏は、すっきりと涼しげに夏の装い浴衣で、日本情緒の雰囲気を味わってみよう。からだも、こころもきっと歓ぶよ。

参考:nonoの浴衣(モデル仕立品)

朝顔と向日葵

いくつになっても、夏が来るたびに、朝顔と向日葵を見るのがうれしい。そう感じるのは幼少時代の記憶があるからだろうか。朝顔の観察日記とか、背丈を越えてぐんぐん伸びる向日葵の明るさが焼き付いているのか。いずれにせよ、明るく元気を与えてくれる。
朝顔は、奈良時代末期に薬草として渡来したといわれる。漢名は牽牛花、牛を牽いていって朝顔と交換するほど、貴重な薬草だったと資料に記されている。牽牛といえば、彦星。といっても朝顔と彦星は関係ないとのこと。昔から、日本画や文学にもよく登場する朝顔、それだけ日本人にとって身近に親しまれている夏の花。思わず「おはようさん」と声をかけたくなる。
向日葵は、日輪草。日輪とは太陽のこと。英語でもサンフラワー。まさしく太陽の花。真夏の陽射しをものともしない、あの強さとまぶしい輝き。どこか光りを放っているようなところに憧れているのだろうか。どんどん高くなる、大きな向日葵も逞しくていいな。