寄稿者:橋本繁美
川端通から仁王門通に入ると、北側に頂妙寺(ちょうみょうじ)という立派なお寺がある。この寺の仁王門が通り名の由来と聞く。このあたりは東大路通の交差点あたりまでは寺院が実に多い。それは、宝永5年(1708)の京都大火の後、寺町通にあった寺院が引っ越してきたからといわれる。町内に設置された地図を見てみると、寺の名前がズラリ。さらに、京のど真ん中の通り名に「新」がついた通りが南北にいくつもあるのに驚く。例えば、縦の通りなのに新丸太町通、新麩屋町通、新富小路通、新柳馬場通、新高倉通、仁王門通の北側には、新車屋町通、新東洞院通、新間之町通、西寺町通と並ぶ。なんか不思議な感じがした。
東大路通から東に向かうと京都文教学園があり、琵琶湖疏水を挟んだ向こうには、みやこめっせ、京都国立近代美術館、京都府立図書館、京都市京セラ美術館と景色が一変する。さらに、京都市動物園、無鄰庵、琵琶湖疏水記念館、京都市国際交流会館、蹴上発電所と三条通(三条街道)粟田口まで続く。他にも有鄰館、京都観世会館など、芸術、文化の香りが漂う施設が多く、平安神宮や京都ロームシアターなどおなじみの岡崎界隈だ。
朱赤の大鳥居をくぐれば、「関西建築界の父」と称される武田五一氏の設計の府立図書館、向かいの市美も教え子たちの卒展で以前は毎年お世話になったところだが、リニュアルされて前の広場がすっかり味気なくなってしまった。私の記憶では中学生の頃まではアリーナスケート場だったと思うがあったと思う。そのあとは喫茶店があり、展覧会の余韻が楽しめたものだ。そうそう、美術館の東側は素敵が日本庭園となっている。そこはちょっとした穴場。夕刻が迫ってきたのでバス停に向かうと、海外からの観光客で長い列ができていた。