寄稿118 歴史漂う寺町通 / 京を歩く

京を歩く寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

かつては四条寺町にある藤井大丸を過ぎると、高辻くらいまでは電化製品を扱う店がずらりと並んでいた。最後まで頑張っていたタニヤマ無線もエディオンになって今ではそのイメージは消えてしまった。若い頃はオーディオやスピーカーや部品を探しによく来たものだ。幼少の頃、母に連れられて歩いたとき、店頭の白黒テレビには天皇陛下、美智子さまの結婚パレードが映し出されていた記憶が残る。昭和34年(1959)4月10日だったと後で知った。きっとテレビが珍しかったのだろう。

綾小路を通り過ぎると、國友銃砲店があった。今では東に入ったところに大きなビルとなり、夏の花火大会でも活躍中だ。同郷の友人の親戚ということでご縁をいただいたお店。そして仏光寺の手前に、和菓子の老舗「仙太郎」がある。ご存じ最中やおはぎ、老玉など、小豆の旨さが最高の品々。大丸や高島屋でも人気の店だ。そういえば、高辻を下がったところに友人のフォトスタジオもあった。そして松原まで行けば東に京都西川があり、毎年、宵山に日和神楽で通る路に出る。寺町通は五条まで続く。

四条まで戻り、前回、歩いた新京極の西隣の筋、入口はリプトンから始まる寺町京極へ。一気に賑やかな寺町京極商店街は、飲食からオシャレまでさまざまな店が並ぶ。もちろん京都ならではの老舗の仏具や念珠の店などもある。昔からの紳士服テーラーやメンズショップも懐かしい。三条まで来ると、すき焼きの三嶋亭がある。

かに道楽の看板を眺めながら北へ上がると甘党の店があり、交番がある。ここからは寺町専門店会商店街となる。矢田地蔵尊の提灯が賑やかな矢田寺、そして京の筍、松茸で名高いとり市老舗。テレビ取材等でお世話になった店だ。そしてギャラリーが続き、姉小路には鳩居堂をはじめ亀屋良永など御池に出るまで老舗が目立つ。「敵は本能寺」でおなじみの本能寺もこの近くにある。

さらに京都市役所の西横を上がると丸太町、御所の東を通り、梨木神社、さらにまっすぐではないが北は鞍馬口通まで続く。寺町通は、豊臣秀吉による京都改造によって天正18年(1590)に通りの東側に寺院が集められたことからこの名前がついている。余談だが、綾傘鉾の町内にあった善長寺も隣の新京極にある。このあたりは平安京の東京極大路(ひがしきょうごくおおじ)にあたる。車が行き交うなか、歴史がぎっしり詰まった道だと感じた。