76 着物を着て業界の知り合いも増えた

男と着物 - 回想録 -

投稿者:ウエダテツヤ

着物を着るようになって一般の方だけでなく業界の知り合いが一気に増えた。それは着物を着たことで同じような考えの催しや集まりにお声掛けいただいたり、SNSが活発だったりそういう変化が重なったからだと思う。特に着物のイベントはジワジワ増える予感漂う時期だった。

業界の何人かには「着物さえ着れば色々変わるよ?」と助言めいたことを言ってみたこともある。実際に着ることで変わると今でも思っている。ただし着ることによって事業の実績に鎮痛薬のような即効性があるかというと私にとってそういうものではなかった。着物を着るとお客様や取引先がやってくるか、話が合うかというと、そう単純なことでない。

その話を付け加えるとどこかホッとしたような、どこか興味をなくしたような、そんな反応も少なくなかったけれど、即効性のなさはそもそも商談会以外の場で「よし、取引先を探すぞ!」と意気込んで行ったことがない私だからかもしれない。「作る」や「売る」という事業者側の視点だけでなく「着る」という消費者側の視点をお持ちの方が多かったこともあって、ただ意見交換や近況を聞くことが楽しく刺激的だった。

日常で着物を着たことが私を消費者にし、新しい価値観を与え、それらが原動力となりそんな人たちとの繋がりを与えてくれたように感じた。

販売を伴った新しい着物のイベントもそんな時期に増えていった。イベントを通して知り合いが増え、知り合いを通してイベントに誘われた。全てとはいかないけれど、いくつかに出店者として参加するようになった。色々なものが磁力を帯びたように繋がり始めた。