投稿者:ウエダテツヤ
急に最近の話になるけれど忘れないうちに投稿しておく。
先日息子の七五三詣に行った。七五三というと最近は写真館などでレンタル出来てそのまま出掛けられる便利なサービスがある。息子の友達やご近所さんからもそういうサービスを使ったと聞いていたので私も同じように考えていた。
普段から息子は服の好き嫌いが激しく、これまでもボタンが嫌だ、無地が嫌だなどと散々言ってきたので着物を着せるとなると一苦労だ(皆そうだとは思うけれど)という思いが過り、写真とお詣りという行程を想像するとなかなかの恐ろしさだった。
そんな理由もあってレンタルして着せてもらおうと思っていたのだけれど、母にチラッと七五三の話題を振ったら「あんたのあんで」と言われた。
「え?あんたのってなんや?」
「あんたが着たやつに決まってるやろ。置いてあるで」
なんとまぁ。因みに着た私は記憶にございません。という事で写真を見せてもらうと黒紋付の羽織袴。しっかり我が家の紋が入っている。聞けば母方の祖父が誂えてくれたようで、それを母は大事に取っておいてくれたようだった。写真で思い出したのは鼻の下の傷。前日幼稚園の芋掘りで顔から転けて痛かった記憶が蘇った。私は祖父が大好きだった。問答無用、これは着せる以外に選択肢はない。嬉しかった。
残してくれていたのは着物と羽織。袴や襦袢、小物類は誰かに貸したりして紛失したようだったので、ネットで購入した。
届いてから息子にあの手この手で試着させてみると、おや?身丈も裄も長い。そうかそうかと、揚げがないことに気付く。採寸して羽織の肩揚げ、着物の肩揚げ腰揚げをお願いした。
何も考えずに何から何までしてもらえるレンタルサービスは便利だ。手持ちだと一回きりでクリーニング代がかかるし、準備や着付、その後の保管場所や管理の問題もある。それでも(子の満足度は別にして)終わってからの私の満足度は圧倒的だった。
母は祖父にしてもらった事を覚えていて、私の子にも同じようにすることで、私に示してくれた。5歳当時にはわからなかったことを、当時の着物と息子を通して知ることができた。改めて祖父に感謝する機会になったし我が子を見ながら様々な思いがこみ上げた。当の本人は特に着物に文句も言わず、私が想像したよりもずっとスムーズに終わった。
ひ孫の5歳を我が祖父もきっと喜んでくれているだろうと思った。ありがとう。私の会いたい人。