寄稿者:橋本繁美
柳色(やなぎいろ)
見渡せば 柳桜をこきまぜて
古今和歌集
都ぞ春の 錦なりける
都の春の景色を美しい絹織物、錦であると詠んだ素性法師の歌。黄緑色の明るい柳色は桜色とともに、日本の春を代表する色。青柳、柳緑(りゅうろく)、薄柳、裏柳、柳鼠と柳のつく色は14もあるといわれ、古人に愛されていたことがわかる。また「柳緑花紅」、「柳はみどり、花はくれない」という言葉もあるように古くから身近で愛されてきた。枝垂れ柳の緑が川面映えて光る春の色の代名詞といえる。
C29 M0 Y60 K8
青柳(あおやぎ)
あおやぎの いとよりかくる春しもぞ
古今和歌集
みだれて花の ほころびにける
春の風にそよぐ柳を糸にたとえ、咲き乱れる花を「ほころぶ」で表わし、ほころびを縫う糸とかけて詠んだ紀貫之の歌。青柳は、青みを増した春の柳の葉のような強い黄緑色のこと。元は平安時代の重色目(かさねのいろめ)に由来、古くから日本の春を表わした色のひとつ。
C50 M0 Y100 K20