寄稿者:橋本繁美
紅梅色(こうばいいろ)
梅の鮮やかな紅色。奈良時代以前は、花といえばその多くは梅をあらわしており、万葉の時代は梅の花は桜より好まれた。おなじみの『万葉集』に納められた120首ほどの梅の歌はいずれも白梅。その頃はまだ紅梅はなく、平安時代にはじめて輸入された。梅は「春告草」という別名が示すように、長く厳しい冬の終わりを告げ、甘い香気で春の訪れを知らせる。凛とした気品で王朝人を魅了したといわれる。
(C0 M70 Y35 K3)
猩々緋(しょうじょうひ)
緋(あけ)のなかで特に強い黄みがかった深い朱色のこと。猩々とは龍や麒麟などと同じく中国の伝説の生き物で、海中に住み、酒を好み、人語を解し、酒を求めてときどき人里に現れるという。頭の毛が赤いというので、これからその名称が出たものと思われるが、戦国時代末期の武将が用いた陣羽織を猩々皮羽織と書いたものもあり、舶載の赤い羅紗をこのようによんだものといわれる。他にも、伝説の生き物の血から来ているという説などもある。
(C5 M100 Y90 K0)