寄稿者:橋本繁美
鶸色(ひわいろ)
小鳥の鶸の羽のような明るい緑がかった黄色をいう。鶸は晩秋から初冬にかけてユーラシア大陸から日本へと渡ってくる冬鳥。この鶸色の色名は室町時代から用いられ、緑みの黄色系を表わす代表的な色名になった。室町中期から江戸期まで、武家や庶民の間に流行した「辻が花」という染物にも用いられた。ほとんど黄に近い微妙な色を表わす色名で『枕草子』にもその名がでてくる。
C28 M10 Y95 K0
縹色(はなだいろ)
明度が高く澄んだ薄い藍色。タデ科の藍だけを用いた純粋な青の染色で、藍色より薄く、浅葱色より濃い青色をさす。青色は人類最古の染料のひとつとして藍が使われていた。奈良時代に成立した歴史書『日本書紀』にも、すでに「濃縹(こきはなだ)」「浅縹(あさはなだ)」という名称が記されている。さらに、『延喜式(えんぎしき)』では、藍の染料だけで染められる純粋な藍染めの青とされている。花田色とも書き、落語にも「花色木綿」という噺がある。
C100 M60 Y41 K2