泥染についてのまとめ

枡屋儀兵衛 商品商品についての様々用語解説
泥染の大島紬

泥染について、泥で染まるの?着心地がいいって本当?泥染のデメリットってある?などまとめてみました!

どうして泥で染まるのか

絹を泥にいれると、ただドロドロに汚れます。なのに不思議な泥染。

泥染といいますが、実は草木染。植物に入っている「タンニン」と「鉄」が反応することにより染まります。大島紬の泥染はシャリンバイから抽出した染液と泥田に入っている「鉄」を使って染めます。

シャリンバイをチップ状にして10時間以上煮込み、出来上がった染液で繰り返し染めます。

染め上がったものを泥田(どろた)に持っていって揉み込みます。

これらの工程を1セットにして4セットほど繰り返します。(シャリンバイ20回、泥田、シャリンバイ20回、泥田・・・)これにより徐々に色が重なり黒くなっていきます。

回数や揉み込む加減は職人さんの経験によるもの。熟練者でも天然染料なので反物によって違いが生まれます。ちなみに泥染職人さんは染めているものがどんな柄なのかはご存じありません。絣が締られている分量などを見て染まり具合などを判断して染めていきます。さすがです。

尚、大島紬の泥染は化学染料などで染めるよりも非常に難しいですが、Tシャツなどの染体験は奄美大島で出来るところもありますので、興味があればぜひ。(泥染写真は当社の大島紬泥染も手掛ける金井工芸さん。体験もされています。)

着心地がいいのか

着心地ってなんだ、ということにもなりますが、一言でいえば「柔らかく滑らか」です。私の感想および当社スタッフの感想は皆「泥染はそうじゃない大島紬に比べて着心地がいい」です。

天然染料・天然繊維なので正直なところ反物によって異なるのですが、大島紬全般的に滑らかであるにも関わらず加えて泥染がさらに柔らかで着心地がいい、というのは大島紬業界では常識。ここでは当社が考えるその根拠を二つご紹介します。

何回も揉み込むから柔らかくなる

タイトルで想像がつくかもしれませんが、糸の染色というと一般的には染料にくぐらせたり煮込んだりします。しかし大島紬の場合はその過程で何度も揉み込むのでその間に糸が柔らかくなるのではないか、と考えられています。

糸が細い

染色の特色上、化合物が糸の周りに付着します。「糸が太る」とも言いますが泥染することで化合物が付着して糸が太くなるので、泥染後に本来の太さになるよう予め計算し、少し細い糸を使います。そこ細い糸が張りを柔らかくし、快適な着心地に繋がるのではないかと考えられています。

泥染製品の注意点

摩擦による色落ちが注意点です。場合によっては帯や足袋などにつくこともありますので、ご注意を。気になる方は大丈夫そうな帯や足袋を使ってください。通常触って手につくようなことはありませんが、濡れるとさらに色落ちしやすくなります。(参考:乾燥時で5段階中2~3程度。湿潤時で1~2程度。※評価1~5で1が最も落ちやすい)

またお仕立て前の地入れ加工は専門のところ(泥染大島紬に慣れているところ)で十分にされることをお勧めします。

反物の端(裏側に貼ってあることもある)にも組合(本場奄美大島紬協同組合)からの注意事項が記載されています。

総合的にみた泥染大島紬

ちょっと注意する点はありますが、着心地の何とも言えない感覚は絶対経験してもらいたいと思います。黒がちょっと苦手、という方でも泥染の黒は意外とばっちり決まったりすることも。経年で少しずつ茶味掛かってきたりするのもビンテージ感が出て素敵です。

尚、泥染製品をご購入の際は反物に以下の泥染マークがあるかどうかでご判断ください。またマークがなくても「一部泥染」製品などもありますので、その際は同じく摩擦などにご注意ください。