寄稿者:橋本繁美
松原通と五条通の間を東西に走る細い道が万寿寺通。東は寺町通と河原町通が合流するところから、西は佐井西通まで。車は東行きの一方通行のため、個人的には渋滞時の抜け道として使っている。西洞院通から烏丸に向いて歩いてみると、寺院関係の仏具店や畳屋が目に止まる。というのも、知り合いの店だから。他にも、表具、法衣、京扇子、水引などの仏事慶事の店がぽつぽつと並ぶ。かつては室町の卸、加工業など和装業者が多かったところ。
万寿寺通の名前は、禅宗京都五山の五位に加えられた万寿寺が東洞院にあったことによる。寺は東山区本町15丁目、臨済宗大本山東福寺の別格扱いの塔頭になっている。このように寺は移転したが町名や通り名が旧地に残ったらしい。
堀川通に出て、万寿寺通は京都府警堀川署(2012年に廃止)で中断する。「南無妙法蓮華経」の巨大な石碑があることから、このあたりには日蓮宗の寺や親鸞聖人が妻帯して住んだ大泉寺がある。万寿寺通は下松屋町通から再び西に伸びるが、道幅はさらに狭くなる。日本たばこ産業(JT)京都会館、そしてJR山陰本線、朱雀第三小学校へと続く。
※樋口小路とは小路沿いに公家の邸宅などがあったといわれる。