菜の花色(なのはないろ)/萌黄(もえぎ)

日本の色を愉しむ寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

菜の花色(なのはないろ)

春の訪れに欠かせない菜の花。ほんの少し明るい緑が入った鮮やかな黄色。もとは菜種(なたね)色と呼ばれた花の色。菜種(油菜)は種から油らを採取するために栽培され、食用油のほか工業用に用いられた。黄色く染める菜の花を見ると春の訪れを感じ、♪菜の花畠に入日薄れ 見わたす山の端 霞ふかし 春風そよふく 空を見れば夕月かかりて にほひ淡し…小学唱歌「朧月夜」を思い起こせば、菜の花畑の風景がひろがっていく。

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萌黄(もえぎ)

春先に草の萌え出る黄みの色という意味で「萌黄」と書く。また、木の葉が芽吹いて萌え出るという「萌木」、さらに葱の新芽が萌え出るという意味で「萌葱」と書く場合もある。新しい生命が芽吹く色。それは黄みある淡い萌黄色は「若芽色」「若苗色」「早苗色」に近く、まさに若さを象徴する色といわれる。平安時代から近世まで常用されていた代表的な緑系統の色名。

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