寄稿者:橋本繁美
白梅鼠(しらうめねずみ)
白梅を思わせる微かに紅みのある淡い灰色。江戸時代は、茶色とともに鼠色が濫用された時代であり、灰色という色名よりも鼠色のほうが広く用いられた。灰白色と同じ表現でも、鼠を使えばもっと簡単に白鼠となり、薄墨色の代わりに薄鼠でいいとなるが、あまりにも色気がないので、もっときれいな呼び方にしようとした。白梅鼠をはじめ、梅鼠、薄梅鼠、白梅色などがある。
(C0 M5 Y1 K10)
若草色(わかくさいろ)
春に芽をふく若草の色からとられた色名。こういう自然の新鮮な息吹きを感じさせる色名は、厳しい冬の後には必ず陽気な春がめぐってくるような気候帯、つまり日本人にしか考えつかないものだろう常夏や常春の国の人たちにとっては、芽吹く自然の緑に対する感動や価値観は薄いように思う。自然の草木の緑の生育と、いかにも密接に結びついている色名。若い年代を表わす青春、青年の青はやはり緑。そんな春が待ち遠しい。
(C40 M0 Y100 K5)