寄稿者:橋本繁美
韓紅(からくれない)
ひときわ鮮やかな濃い赤色。紅花(べにばな)エジプトやエチオピアあたりが原産地とされているキク科の植物。はるか昔、シルクロードを渡ってアジアにもたらされた紅花の由来を 「舶来」の意味と、深紅の美しさを強調して、韓紅または唐紅の和名がついた。「紅の八塩(8回染めるの意)」と呼ばれた紅花の濃染(こぞめ)。万葉の時代には、この染料がどの色にもまして美しい色に染められるところから、人の心に深くしみる思い、感情を表現するようになった。美しい紅葉が川面に映る様子を、在原業平は「千早ぶる神代もきかず龍田川からくれなゐに水くくるとは」と詠んでいる。
C0 M100 Y80 K0
梅重(うめかさね)
古くから愛されてきた梅。奈良時代に中国から輸入されていたが、一般化するのは平安時代から。『枕草子』(三七段)では「いとめでたきもの」として、「木の花は こきもうすきも紅梅」とあげている。濃紅梅、中紅梅、淡紅梅、蕾紅梅などバリエーションも豊富。紅梅は濃いも薄いも美しい。梅重は紅梅が重なり、より濃く見える色をいう。平安貴族の愛でた色は数多くあるが、梅とつく襲色(かさねいろ)は、春を待ちこがれる冬からの色。
C0 M80 Y40 K0