寄稿者:橋本繁美
燻銀(いぶしぎん)
一年が終わり、そして始まる冬。古くから私たち日本人は、この季節の色を大切にしてきた。真っ白な雪を白粉にして、あっという間に静かに雪化粧。雪の白は私たちの心までリセットしてくれる、そんな気がする。銀色の仲間に、燻銀がある。燻された銀の光沢をなくした色で、日本人の寂びを貴ぶ美意識が表われている。屋根瓦などにも使われる言葉。
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薄墨色(うすずみいろ)
冬の空は鉛色。明るさを打ち消して寒々しくなり、モノトーンの世界を描く。そして、音もなく降り積もる雪の静謐で美しい光景は、まさに水墨画の世界。薄墨その名のとおり、墨を薄めたような色。書籍によると平安時代、宮中では反故紙を漉き直した薄いグレーの再生紙を薄墨紙といったとある。そんな昔から紙を再生して使っていたことに驚かされる。
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