寄稿89 織姫社七夕祭に「棒振り囃子」奉納・秋の七草

京の旬感寄稿記事-ことばの遊園地-

寄稿者:橋本繁美

織姫社七夕祭に「棒振り囃子」奉納

8月7日(日)18時半、今宮神社(京都市北区紫野)において、織姫社七夕祭が斎行された。これは西陣の業祖神である織姫大臣に感謝を捧げる祭りで、織姫の神と西陣の人々がひとつになって西陣を作り上げてきたことを象徴する祭りともいわれている。祇園祭綾傘鉾保存会ならびに囃子方(壬生六斎)によって、毎年、棒振り囃子を奉納させてもらっている。今宮神社といえば、桜の花が散る頃、疫病が花の精にあおられて飛散するといわれる「やすらい祭」が有名。生花で飾られた大きな花傘を先頭に地域を練り歩き、花傘に惹き寄せられた疫神が鎮められるという、人々の厄疫を取り除き、健康長寿を祈る祭り。この風流傘が綾傘鉾と取り持つご縁。5月には災厄忌避を祈願する「今宮祭」がおこなわれる。

秋の七草

秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびおり) かき数ふれば 七草の花

山上憶良『万葉集』一五三七 巻八

萩の花 尾花 葛花(くずばな) 撫子(なでしこ)の花 女郎花(おみなえし)また 藤袴(ふじばかま)朝顔の花

山上憶良『万葉集』一五三八 巻八

尾花は薄(すすき)のこと。ここでいう朝顔は桔梗(ききょう)のことをさす。この秋の七草、いっせいに花を咲かせるのではなく、萩や桔梗、撫子は比較的にはやく花が咲く。薄、女郎花、葛と咲いて、十月になると藤袴が咲く。