投稿者:ウエダテツヤ
着物にコートが必要かどうかは、着物自体の性質に加えて着物の中に何を着るかや、寒がり暑がりといった体質など様々な要素によるのだろう。実際羽織のみで出歩く人も多いし、私も毎日着物を着ようとするまでコート類を必要と思っていなかった。
ほとんど接客時に着るだけだった小売店勤務時代は羽織ですら着ることは少なかったし、奄美大島に住んでいたときは気候的に羽織で十分だった。
奄美から京都に帰ってきて改めて寒さを実感したけれど、それでも羽織の先とも言える防寒にまで心は至らなかった。そもそも羽織も一枚しかなかったので着物のコートを買うぐらいならもう一枚羽織が欲しいなと思っていたし、実際それから2年ほどで羽織をいくつか購入していた。
しかし今までは「羽織だけではちょっと寒いけど、まぁいいか」と思っていた事が毎日着るようになった途端「まぁ良くないわ!」と感じるようになった。毎日毎日寒い。マフラーだけでは物足りない。そもそも寒がりな私である。
そんな時、父が着ていた商品サンプル(着物のコート)を譲り受けた。縞大島で作られたそれは色々な理由で商品化されなかったけれど何より私には羽織の上から着るものをゲット出来たことが大きかった。
一度手に入れると最早コート無しでは無理ですな、と脳内の私が言うのを感じながらしばらく着ていたのだけれど、着ているとコート自体に興味も出てくるもので、今まで見向きもしなかったどこかで仕入れて眠っていたコートを社内で発見した。こちらは大島とは関係ないものだったけれど、試着してみると角袖でシャンとする。
着物のコートで袖の形は結構ポイントだと思っている。見た目とコートの中での袖の収まり方。この2つで好みを探るのだけれど、私の場合は袖が中でもたつきがちな細身の袖よりは角袖が良さそうだった。(ちなみにもらったサンプル品は細見の船底型だった。)
ということで早速購入。それまで着ていたサンプル品は私と同じようにコートを着ていなかった社員に譲り渡した。10年以上経った先日まで彼はそれを着ていた(かなり傷んだらしく先日新調した)ので好き好きは人によるなとつくづく思う。私は私でその時購入したコートを今もたまに着る。
メンズ的なオリジナルコートをまだ開発していないのだけれど、いずれ挑戦してみたいと思いつつ。今年は寒かったので特に思うのだけれど例年はカーディガンで事足りている。