寄稿者:橋本繁美
寒い日ほど、しゃんと背をのばして、三条の大橋を渡る。比叡の山から吹きおろした川風は、思わず足を早めたいほど冷たいけれど、60歳を過ぎたら、このきびしさが好きになった。まあ、寒さとも仲良ういたしまひょ。 そんな晩にはかぶら蒸しがおいしい。大きな聖護院かぶらの皮をごつうむいて、おろし、水気を切って卵白と合わしたら、かやくの上にのせて蒸す。そして、別にくずあんを作って、かける。わさびのきいたかぶら蒸しは、底冷えの夜のなによりのごちそうである。しまつな京おんなは、皮も刻んで壬生菜と一緒に切り漬に。おこぶをはりこむことは忘れない。京の冬のたのしさかしらん。
(随筆家・大村しげさんのエッセイより)
読んでいるだけで、寒さに負けないで、背筋をピーンと伸ばして姿勢よく、歩こうと思う。外の冷気とマスクのせいか、眼鏡が曇りがちになるが歩く。とにかく動く。できれば、ひと気の少ない、自然の空気が吸える安全なところを歩いてみる。息づかいが荒くなれば、足を止めて深呼吸。そして、冬ならではの料理を作って楽しむ。いきなり、かぶら蒸しは作れなくても、あったかいものなら何でもオーケー。身近な食材で料理に挑戦してみる。最終、味の方はといえばテキストどおりにいかなくてもいいのではないか。最初は失敗を繰り返しながら、少しずつ上達するものだ。といいつつ、なかなか思うような味には辿り着けないものだ。食材はこの時期にこそ味わえる旬の野菜や魚などをうまく使って、自分なりの料理を楽しんでみるのもいいかなと思う。冷えた身体と芯からあたためてくれる、そんな男の料理というのは最高だ。では、さっそく食材の買い出しに。白菜、大根、長ねぎ…、もちろん、お店へは歩いてですよ。