寄稿者:橋本繁美
名瀬の繁華街から車で30分も走っただろうか。今回は、奄美の別天地に連れて行ってもらえるということで楽しみだ。車は海とは反対の山の中に入っていく。奄美の山には見慣れた松や杉などは見当たらない。そこには、天然の亜熱帯広葉樹がこんにちはと挨拶してくれるように顔を出す。見るものすべてが新鮮で驚きの連続だ。
いよいよ、金作原(きんさくばる)原生林の入り口に到着。ここからは山道を歩く。最初に教えてもらったのが、大きな葉っぱのクワズイモ。まるで里芋みたいだが、その名のとおり食べられない。みごとな葉の大きさと力強い美しさに惹かれてしまう。
東洋のガラパゴスと称されるほど豊かな自然が広がる原生林には、高さ10mにも成長するシダ科の植物「ヒカゲヘゴ」をはじめとする天然の国有林がひろがる。見上げれば見上げるほど、その巨大さに驚かされる。緑の間から差し込む陽光が、とても神秘的だ。まるで恐竜時代を思わせるような大自然を堪能できると思ったら、かつて映画の撮影にも使われたところらしい。さすが、目の付けどころに納得できる。それにしても、このまぶしい緑のシャワーを全身にあびていると、心地いい別天地にいるようだ。思わず、森呼吸と書きたくなるような深呼吸。実に気持ちいい、金作原原生林は最高!