寄稿者:橋本繁美
「おお寒む、おお寒む」「近所でとんど、したはるで」「あたりにいこうか」。そんな会話が聞かれたのは昔。松の内も今日までという1月15日の朝、以前は「とんど」がおこなわれていました。消防法の関係で、京都市中ではもう見かけなくなりましたが、郊外へ行くと四つ辻や河原など毎年決められた場所で、その在所の家々が正月の飾り物を持ち寄って火にかけます。
地方によって、どんど、どんどん、左義長などと呼び方は異なりますが、とんどの火には霊力があると信じられ、お餅を焼いて食べると一生病気にかからないとか、老人が火にあたると若返るとか、灰を家の周りにまくと厄除けや虫除けになるといういい伝えが残っています。そうそう、書初めを燃やすと、字が上手くなるともいわれています。小さい頃、半紙に書いた習字を燃やしたのに、字が下手なのは練習不足なのか、いや生まれつきかな。